働く高齢者年金増額案
今日も年金の話題が出てました。厚労省が年金をもらいながら働く「在職老齢年金」の制度見直しに着手したとのこと。現行制度は、給料と年金の合計が一定額を超えると超えた額の2分の1から全額年金を削減するというものですが、この一定額の基準を引き上げ、撤廃を検討しているとのことです。(要は年金の手取りが増える)
この制度の仕組みは話し出せばキリがないので、説明は新聞各社に譲るとして、記事では指摘されていなかった点についてひとこと。
これを年金保険料の負担の面からみますと、現在、厚生年金の加入は70歳まで、平成23年9月からは保険料率は16.412%なので、嘱託社員などとして月20万円くらいの給料で再雇用されたとしても3万円強の保険料が入る計算。
そしてあまり知られてないのではないかと思いますが、厚生年金加入者は65歳までは国民年金の第2号被保険者とされます。しかし国民年金は40年しか加入できなく20歳のときから60歳まで40年間勤めた人については、老齢基礎年金の給付は増えないものの基礎年金拠出金として国民年金に保険料が入ります。
要は出る分を抑えるのではなく、入りを多くすることが政府の狙いでしょう。確かに支出を切り詰めてばかりでは景気も悪くなる一方ですから一理あるとも言えますが、老齢厚生年金については60歳以降働いた分将来の給付が増えますし、さらに現役世代の支給開始年齢を68-70歳に引き上げも検討と言われれば、現役に負担を押し付ける以外の何ものでもないでしょう。企業側は負担増に反発必至とありましたが、今後の行方が気になります。
ちなみに在職老齢年金ですが、これは厚生年金の話ですから、貰う年金が国民年金の老齢基礎年金(繰上げでも可)、あるいは厚生年金に加入しない働き方(例えば自営業、パート、嘱託等となって勤務時間が他の社員の4分の3未満に低下)であれば減額されることはありません。
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