積立方式か賦課方式か
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年金・社会保障ネタ
積立方式とは文字通り将来の年金給付の為に保険料を積み立てて、年金が支給される年齢になったら取り崩すもの。民間の年金保険や極論すれば自分自身で老後のために定期預金するのと同じ感覚です。それに対して賦課方式とは現役世代の保険料を年金受給者に分配するという方法です。保険料の代わりに税金で賄う税方式という言葉もありますがこれも賦課方式と言っていいでしょう。そして現在日本の年金はこの積立方式と賦課方式の折衷型とされています。
支給開始年齢引き上げや夫婦分割など年金改革が話題となる中、最近割りと耳にするのが年金制度を「積立方式」に一本化しようというものです。
チョット古いですが例えばこんな方も提唱されています↓
http://mainichi.jp/select/biz/katsuma/crosstalk/2008/10/post-2.html
積立派の主張は「賦課方式では若年世代の負担が増え続けて年金制度が維持できない」「少なくとも自分の掛けた分の年金は貰える」の二つに集約されているように感じます。確かに前者は少子高齢化が進行する中で負担は増え続け、給付は減るのはやむなしでしょう。後者も少なくとも自分で納めた保険料が元本割れすることがないのですから、年金不信が解消されるかもしれません。
しかし果たしてどうでしょうか。私は老後の資金確保に必要なことはインフレ・リスクに備えることだと思います。この先10年くらいならともかく50年以上も先に何が起こるか分かりません。今のデフレ状態が半永久的に続けば結果オーライとなるでしょうが、ハイパーインフレは極論としても年率10%のインフレが続く状況が10年も続けばそれまでの積立金の価値は半減します。大卒初任給が100万円なんて時代に夫婦で20万円の年金ではとても生活できないでしょう。
そもそも積立方式は国による強制貯金と言えなくもありません。それなら自分で運用するもよし、今でも確定拠出年金がある訳ですからそれを利用すればいいでしょう。民間の年金保険でも一緒です。という理由から私は今後も「賦課方式」を維持するのがベターだと考えております。
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